第6回 歴史の重複は学術研究者からも指摘されている
歴史は700年重複している
学術研究者の中にも、歴史年表は間違っていると主張している人たちがいます。その中の一人グナル・ハインゾーン教授
をご紹介します。この方はドイツ・ブレーメン大学社会科学名誉教授で、社会学者であり経済学者、またジェノサイドに関する最初の百科事典を出版し、ヨーロッパ初の比較虐殺分析研究所を設立された方で、名の知れた研究者です。残念ながら2023年2月に亡くなられています。
グナル・ハインゾーン教授は2016年5月に「西暦最初の千年間にあった大惨事と年表」というタイトルで講演されています。その中でわかりやすい部分をご紹介します。結論を先に紹介すると、「700年間に分かれて年表に記録されている歴史は、実は同じ時代のものであったと考えられる」と語っています。つまり歴史は700年重複しているということです。
グナル・ハインゾーン教授の講演の内容
簡単にまとめると以下のようになります。
- 西暦後最初の千年間の、3世紀(230年)、6世紀(520年)、10世紀(930年)に、3度の大災害が起こったと言われている。大災害を受けたのは、ヨーロッパ、北アフリカ、中東で、災害の原因は、ラバウルカルデラ噴火、クラカタウ噴火、ティエラブランカ噴火、北アメリカ山脈噴火、エンケ彗星や複数の彗星によるイベントなどと言われている。
- これら3世紀、6世紀、10世紀の災害で残されたものを調べると、古い年代が地層の下になっていることはなく、すべて同じ層で見つかっている。
- 3世紀(230年)から930年までの700年間、建築、科学、芸術、言語などの進歩がない。残された建築物、芸術品、船などを比べると、700年間まったく発展していない。
- 結論は、3世紀、6世紀、10世紀の災害とは、同じ一つの巨大な大災害イベントで、230年から930年の700年間は、同じ時代だろうと考えられる。
こちらがグナル・ハインゾーン教授の2016年の講演の動画です。「700年間を取り除くと意味を成す」事例をたくさん紹介していて、「縦に書かれた歴史は、横並びだった」と語っていています。
10世紀の大惨事 /新しい年表
もう一つグナル・ハインゾーン教授の動画をご紹介します。
こちらは、History Valley ポッドキャストと言うYouTubeチャンネルのインタビュー動画です。History Valleyでは、著作家・博士・教授などを招待して、世界史や宗教史についてインタビューをしているチャンネルです。こちらの動画でも、先の動画と同様に、700年間に分けられている歴史は一つの時代であることを説明しています。興味深い部分をまとめると以下のようになります。
- 230年~930年の間、ローマで建築された家・トイレ・水道・下水道・道路・港・飲食店・パン屋等は一つもない。これは研究者の間でも知られている。
- 多くの地域を旅行した使徒パウロは、まともな研究者でも「使徒パウロは実在しなかった」と言う人がいるくらい、1世紀のパウロについての証言情報が乏しい。ところが4世紀、8世紀になると、パウロの信奉者が登場している。それらパウロの信奉者たちは、とても迫害されて拷問を受けて処刑されている。つまり1世紀の情報が、4世紀、8世紀に分散されて残されていると考えられる。
- ローマ帝国の皇帝として初めてキリスト教を信仰したと言われるコンスタンティヌス(270年~337年)は、1世紀に生きた人物だと考える。彼の息子が建てたイエスの墓と言われる聖墳墓教会は、1世紀の採石場のヘロデの石材で作られていて、4世紀のものではないことが判明している。コンスタンティヌスの敵がマクセンティウスだが、マクセンティウスの霊廟は、西暦50年に建てられたことがわかっている。
- エルサレム周辺に住むナバテア人のアラブ人は、独自の硬貨を発行していた。ところが600年間コインを発行せず、コインの発行を再開したときは、600年前のコインを発行した。つまり少なくとも600年間は空白で、存在しない期間である。
グナル・ハインゾーン教授が語る巨大な大災害
両方の動画でグナル・ハインゾーン教授が指摘しているのが、ヨーロッパ、北アフリカ、中東で、巨大な大災害は同じ時代に起こったということです。先に紹介した2016年の動画では、災害があった地域を地図で紹介されていました。
グナル・ハインゾーン教授は、これらの3つの災害は1つの巨大な災害であったと考えていますが、10世紀の災害については災害の様子を語っていたのでご紹介します。
- スカンジナビアから東ヨーロッパを経て、黒海とメソポタミアまで、大規模な破壊が起こった。
- この災害は、3世紀と6世紀の災害とは、災害場所が重なっていない。(3つの災害は同じものであるという意味)
- スカンジナビアでは、古くからの地方の権力はすべて終焉を迎え、キリスト教への一般的な改宗が起こった。
- ポーランドでは、既存の中心部族が壊滅的に崩壊した。永続的または一時的な人口減少が伴った。
- ブルガリアの大都市プリシュカは、大量の浸食物質によって覆われ、砂漠の風景へと変化した。
10世紀の崩壊について
黙示録8章の災害だったのか?
グナル・ハインゾーン教授はこの巨大な災害について、2016年の講演の最後に、「まるで黙示録8章の出来事が起こったようだ」「ハルマゲドンの戦いのようだ」と言われました。2つ目の動画では、「サタンが1000年間繋がれた後に解放されたようだ」と発言していて、とにかく黙示録的なイベントであったと考えていたようです。
黙示録8章には、「御使いによるラッパの裁き」の様子が書かれています。「地上の三分の一」という、特定地域の災害について述べられています。ひょっとするとヨーロッパ、北アフリカ、中東の地域を襲った巨大な災害とは、「御使いによるラッパの裁き」だったかもしれないという印象を受けました。
黙示録
8:7
第一の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、血の混じった雹と火とが現れ、地上に投げられた。そして地上の三分の一が焼け、木の三分の一も焼け、青草が全部焼けてしまった。
8:8
第二の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして海の三分の一が血となった。
8:9
すると、海の中にいた、いのちのあるものの三分の一が死に、舟の三分の一も打ちこわされた。
8:10
第三の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が天から落ちて来て、川々の三分の一とその水源に落ちた。
8:11
この星の名は苦よもぎと呼ばれ、川の水の三分の一は苦よもぎのようになった。水が苦くなったので、その水のために多くの人が死んだ。
8:12 第四の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一とが打たれたので、三分の一は暗くなり、昼の三分の一は光を失い、また夜も同様であった。
全世界に挑もうとしている試練
黙示録3:10 忍耐についてのわたしの言葉をあなたが守ったから、わたしも、地上に住む者たちをためすために、全世界に臨もうとしている試錬の時に、あなたを防ぎ守ろう。
ここで書かれている「全世界」という単語は、οἰκουμένηで、第四回でも解説しましたが、「ローマ世界全体」という意味です。ヨーロッパには、古代ローマ式の建物や、古代ローマ式浴場が残されていて、ローマ帝国はヨーロッパまで大きく拡大していたことが知られています。ヨーロッパや中東もローマ社会だったと解釈すると、ここで語られる「全世界」とは、グナル・ハインゾーン教授が紹介している災害があった地域と、ぴったり重なるのではないかと思います。
また、全世界に「臨もうとしている試錬の時」という言葉は、「about to come」と言う意味のギリシャ語で、「今まさに来ようとしている試練の時」という意味です。黙示録の文章は、神の裁きが来る直前に、聖徒達に向けて書かれていたのです。もし災害がどこにも起こっていないのなら、その方が聖書の言葉の信頼性を損なうのです。
大災害の後かもしれない遺跡
皆さんは世界の各地に、大規模な災害が起こって、住居が溶けて破壊されているような痕跡が残されているのをご存じでしょうか?
こちらの動画では、住居跡や人工物と思われるものが、溶けて破壊されている遺跡などを特集しています。英語の解説はありませんので、どなた様でも見て理解できると思います。
こちらの動画では、ハルマゲドンは古代に起こったという解説をしています。
古代ローマは1800年代に発掘され、作業は100年かかったそうです。ローマは神の怒りを受けて、長年廃墟のままだったのではないかと思います。こちらはローマの発掘の様子の写真を紹介しています。
グナル・ハインゾーン教授が語られた「災害の時代が3世紀、6世紀、10世紀に分割されているが、1つの巨大な災害であり、700年の年月が重複している」というのは、名の知れた学術研究者の研究から導き出された結論で、トンデモ論や陰謀論ではありません。
ロシアの数学者、モスクワ大学教授、ロシア科学アカデミーの正会員のアナトリー・フォメンコも、歴史の捏造についての研究で有名で、「古代はまったくのフィクションで、1000年の歴史を追加した」と主張しています。
グナル・ハインゾーン教授の講演を見て、私が興味深いと思ったのは、10世紀の災害(700年分追加されているので、930年=230年)で、「スカンジナビアでは、古くからの地方の権力はすべて終焉を迎え、キリスト教への一般的な改宗が起こった」と紹介されていたことです。大災害の後に残った人々が、突然イエス・キリストを信じるようになったようです。
また西暦337年に死亡しているコンスタンティヌス帝が、1世紀の人物であったいう推測も、実際はエルサレムの神殿崩壊からほどなくして、キリスト教が受け入れられた可能性を感じます。
10世紀に大災害があったとすると、今から1100年くらい前に起こった出来事になります。また700年の歴史が重複しているということで700年分差し引くと、2023年は1323年となります。つまり、私たちは、西暦1100年~西暦1323年くらいに生きている可能性があるということなのです。